子犬でワンちゃんを迎え入れてから数ヶ月後にやってくる「去勢(避妊)手術」のタイミング。
もちろん必ず必要というわけではありませんが、手術するのが決まっている場合はちょっと緊張しますよね?
この記事は、「もうすでに手術するのは決めてるけどいろいろと不安なことがある…」という人に向けて書きました。
去勢手術前の心配事や、術後の様子などをまとめてありますので是非参考にしてください。
去勢手術をすることのメリット・デメリット
去勢手術の目的は、生殖器に関係する病気を予防することや、その名の通りオス特有の攻撃性を減らすことなどが挙げられます。
もちろん手術にはリスクも伴いますが、それを上回るメリットがあるというのが一般的な考えと言っていいでしょう。
わたしも飼い主として、やはり手術はちょっと心配でしたが「去勢手術によって健康で長生きできる可能性が高くなるなら…」ということでする方を選びました。
まぁいろいろな考え方はあると思いますが、ここで簡単に去勢手術のメリット・デメリットをまとめてみます。
メリット
- 生殖器関係の病気へのリスクが低くなる
- 性的欲求から解放されてストレスが軽減
- 縄張り意識が少なくなりマーキングが減る
- マウンティング(腰振り行動)が減る
- 7ヶ月以降は自然に抜けない乳犬歯を抜歯できる
デメリット
- 手術(全身麻酔)が失敗する危険性がある
- 太りやすい体質になり、筋肉量が減ることもある
- 臆病な性格だとさらに大人しくなる可能性がある
去勢手術は睾丸を摘出するため、男性ホルモンの分泌が少なくなりオス特有の攻撃性や縄張り意識が薄れる傾向にあります。
「マウンティング」や「マーキング」が減るのはこのためですね。
本来の目的は病気のリスクを低減することですが、これらの行動が減る可能性があるというのも去勢手術をする大きなメリットだといえます。
一方で、デメリットはなんと言っても全身麻酔も含めて手術が失敗する危険性があるということ。
初めて犬を飼う場合はとくに “手術” という言葉にビビっちゃいますね。
わたしも「症例も多いし難しい手術じゃない」って先生から聞かされても不安は消えませんでしたよ(汗)
【手術前】えっ、タマタマが下りてこない?
さてここからは凜太郎の手術前後の話をしていきます。
早速ですが、凜太郎を4ヶ月で迎え入れたとき、彼の睾丸はまだお腹の中から下りてきていませんでした。
通常は2ヶ月ほどで睾丸(精巣)は陰嚢内へと移動しますが、生後6ヶ月を過ぎてもお腹の中から下降してこない場合は陰睾丸または停留睾丸と診断されます。
まぁ簡単に言うと、タマタマがぶら下がった状態になっていないということですね。
この状態で去勢手術することもできるのですが、これだとお腹を切る手術になるので、たいていは睾丸が下りてくるのを待ちます。
凜太郎も、まだ時間があるということでとりあえず待つことにしました。
ところがなかなか下りてこない。6ヶ月過ぎにやっと右側の1つが下りてきたんですが2つ目が下りてこなかったんです。
下りてくるのに1年以上かかることもあるし、なかには結局下りてこないというケースもあるとか…。
こうなると去勢手術の時期がとても難しくなります。
オスの本能が完全に目覚めてから手術するのはかなりのストレスがかかるという話もありますし・・
手術の時期が遅くなると生殖能力が完成してマウンティングやマーキングが治らない可能性も出てくる。
また、停留睾丸は腫瘍が発生するリスクが高まるという弊害もあるそうで。まだ幼いので希なケースとはいえ、精巣がんになる可能性もゼロではありません。
お腹を切るという負担は避けたいけど、手術を先延ばしにするとしてもいつまで延ばせばいいのか。
正直、生後5ヶ月を過ぎた辺りからけっこう悩んでましたね、毎日 “下りてくる” マッサージをしてあげながら。
ただ幸いなことに、7ヶ月過ぎで検査をしたとき、睾丸がお腹の中ではなく鼠径部の皮下までは下りてきている「皮下陰睾」という状態になっていたのが分かったんです。
足の付け根くらいのところまでは睾丸が下りてきている状態といったらいいでしょうか。
この状態であれば手術の際にお腹を切る必要もないし、それほど負担にはならないという説明を受けました。
そこで、皮下陰睾とはいっても「この時期まで待てば下りてくる」という保証もありませんし、ずるずると先延ばししていると判断が鈍ると思い手術することに決めたんです。
それで結局は生後8ヶ月というタイミングで去勢手術をすることになりました。
【手術当日&費用】いよいよ手術!緊張して眠れません…
凜太郎が手術をした病院は飼いはじめてからずっとお世話になっているところ。初診のときから去勢手術の相談はしていましたね。
手術することが決まったら、まずは日取りを決めて1週間前に血液検査です。
この結果で問題がなければそのまま決めた日取りで手術することになります。
手術は日帰りもOKということでしたが、術後に何かあると怖いからとりあえず一晩預ってもらうことに。
ちなみに、この病院では事前にエリザベスカラーを用意するのが必須でした。
凜太郎には前々から目を付けていたムチャクチャかわいいエリザベスカラーを用意。
さすがに先生には苦笑されました・・
手術当日、それまではあまり考えないようにしてましたが、いざ病院に着くと一気に緊張モード。
飼い主が緊張してもしょうがないんですが、やっぱり全身麻酔というのが気になって。
初めてのお泊まりというのもあって、凜太郎を預けて家に帰ったらシーンとしちゃって急に寂しくなったのを覚えてます。
「難しい手術じゃないから」「大丈夫だから」って自分に言い聞かせながら・・、結局その夜はあまり寝れませんでした(奥さんに笑われましたよ)。
退院は翌日の午後だったんですが、午前中に病院からの連絡がなかったのでとりあえず無事に終わったのかなとか考えながら迎えに行きました。
で、1日ぶりに凜太郎とのご対面です。ちょっと元気がないかなとも思いましたが顔を見たらホッとしましたね。
手術自体も問題なく無事に終わったと。
あとは1週間後に経過検診を兼ねて抜糸をしたらすべて終了です。
入院含めた手術の費用がこちら。
- 診察料:1,100円
- 術前血液検査(7項目):4,950円
- 全身麻酔:12,100円
- 去勢手術:16,500円
- 消炎鎮痛剤注射:3,160円
- 内服薬:1,250円
- 潜在精巣(皮下・片側):5,500円
- 犬歯抜歯(×2):4,400円
- ペットショップ発行の割引チケット:▲20,500円
合計:28,460円
【手術後】家に戻ったときの様子はどう?
無事に手術も済んでひと安心ですが、実は家に帰ってきてからがけっこう大変でした。
まずは、手術で縫い合わせた部分を抜糸までの1週間くらいは舐めないように(菌が入らないように)しなくてはいけません。
もちろん術後は常にエリザベスカラーをすることになりますがこれが厄介で。
ふつうのエリザベスカラーだと違和感があって横にならない(眠れない)犬もいるという話を聞いて、枕にもなるこのタイプを用意したんですが、
これを装着すると凜太郎は動かなくなっちゃうんですよ「僕、病人(犬)なんで…」みたいなオーラだして。
さすがに外に出ればいつもみたいに動き回るだろうと思って散歩に出掛けてもほとんど動かない。
もしかしたら術後で体調が悪いのかなと心配もしましたが、食欲はとりあえずあるし・・
さらに困ったことにオシッコとうんちをしないんですよ。帰ってきてから一晩経っても。
これはさすがにヤバいかなと思って電話で先生に聞いたら「そういうケースもあるのでもう少し様子をみましょう」と。
ご飯は食べる(水もちょっと飲む)けど、ほとんど動かないし排泄もしない。
これ、心配になりますよね?
で、次の日の夜かな、やっとオシッコをしたんです。なぜかソファの上でしたんですが、もう嬉しかったですね。
ソファはビチョビチョなのに奥さんと2人で「良かった~!」って(笑)
結局うんちは3日目の朝だったと思います。
一方、動きが鈍いのはそのまんま。
これはこの特殊な(?)エリザベスカラーがダメなんだなと思って、いかにもっていうアクリル製のエリザベスカラーも購入して付けたんですがこれもダメ。
外してあげると動くんですが付けるとピタッと止まる。
ということで、今度は洋服タイプ(エリザベスウェア)を購入して着させてあげましたが、やっぱりほとんど動かない。
体操のお兄さん? エリザベスウェア
で、この頃からだんだんと気づき始めたんですね。
凜太郎は体に何か付けたり着たりするのが嫌いなんだと(豆柴なので普段も洋服は着せてません)。
豆柴・柴犬あるあるなのかもしれませんが、今は完全に「凜太郎はとにかく洋服などが苦手」という認識になっています。
だから結局、4日目くらいから寝るとき以外は何も付けずに過ごさせました。
とりあえず抗生剤も飲んでるし傷口を噛んだりしていないので大丈夫かなと。
そんなこんなで1週間が過ぎ、何とか菌なども入らず無事に抜糸が終わりました。
抜糸が済んでエリザベスカラーから解放された後はとくに問題もなくいつもの凜太郎に戻って。
その後1週間くらいは手術跡を気にしていましたが散歩や排泄もいままで通り。その頃には飼い主も手術のことはすっかり忘れていましたね。
手術跡もすっかり消えて今はもうどこにあるか分かりません。
【まとめ】手術後は行動に変化はあった?
ちょっと長くなってしまいましたがここでまとめです。
去勢手術の本来の目的とも言える病気予防やストレスの軽減は当然まだ分からないので、それ以外の項目で凜太郎の術後の様子を紹介します。
マウンティング
これはハッキリと減りました。
凜太郎は5ヶ月を過ぎた辺りから、家族の人間やクッションなどにしょっちゅうマウンティングをしていました。ときどきウンザリするくらい。
とくに奥さんには酷かったのに今ではほとんどしないから確実に効果はありましたね。あのピンク色の物体も出てきません…。
マーキング
これはあまり効果を感じません。
手術前からすでに凜太郎は外でマーキングすることもあったので期待していましたが治っていませんね。
ただ、室内でのオシッコは足を上げないしマーキング的な行動もしないので、そこはやっぱり手術のおかげなのかもしれません。
まぁこれは、手術したのがトイレのしつけがまだ終わっていないような時期だったので判断するのは難しい部分もあります。
乳犬歯の抜歯
乳歯は7ヶ月を過ぎると自然に抜けることがないので、この時期まで残っていたら全身麻酔をするついでに抜歯するのが良いとされています(抜歯は全身麻酔が必要)。
直接去勢手術とは関係ありませんが、甘噛みされたときのあの尖った乳犬歯の痛みから解放されたのは本当に良かったです。
むしろこれが一番嬉しかったくらい(笑)
いまでも家族には甘噛みをしますが全然ストレスがなくなりましたね(甘噛み自体を止めさせるべきですが…)。
太りやすい体質になる
これはたしかに太りやすくなったかもしれません。
ただ、想像より酷くはない。食事の管理さえ徹底すればコントロールはできますね。
とりあえず手術から半年くらいはダイエット用のドッグフードに替えて、徐々に量をコントロール。
同じフードでいきなり量を減らすと満足感がないので、カロリーの低いフードで量をキープしつつ徐々に量を減らしていくといったイメージでしょうか。
今はとくにダイエット用のドッグフードというわけではありません。
性格が大人しくなる
凜太郎はヤンチャなので少しは大人しめの性格になるかな?と思っていましたが、全然変わりません(笑)負けず嫌いの性格もそのまんま。
ちょっと甘噛みが減ったかなとも感じますが、これは年齢が上がっているのでその影響ともいえますね。
ということでいろいろと書いてきましたが結局は「凜太郎の去勢手術をして良かった」というのが飼い主としての結論です。
去勢手術をしたらかえって寿命が短くなるという説もあるみたいですが、こればっかりは原因を突き止められないので分かりませんよね。
ただ、少なくとも精巣がんになる可能性はゼロですし、手術さえ無事終わればメリットになるようなことのほうが多いとは思います。
現在の凜太郎です
「去勢・避妊手術をするかどうか迷ってる」「専門的な内容が知りたい」という場合は獣医師さんが監修しているWEBサイトなどを参考にしてくださいね。
この記事はあくまでも飼い主の体験談なので、「あ~そんなこともあるんだ」といった感じで何かのお役に立てれば幸いです。