豆柴という犬種がない、血統書がないって本当?それって何が問題なの?

豆柴の凜太郎

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凜太郎を飼いはじめ、“豆柴” のことをネットなどで調べるようになってから「豆柴という犬種はありません!」「豆柴はJKCの血統書が発行されません!」などと主張している人が多いことに驚きました。

なかにはすごい上から目線で「犬に詳しい人は豆柴とかいう言葉は使いません!」なんて書き込んでる人もいたりして・・

なんか「豆柴」というワードに過剰に反応する人がいるんですよね…。

ではなぜ世間には豆柴を否定する人がいるのでしょう?そして豆柴と呼ぶことの何が問題なのでしょうか?

今回は「豆柴」という言葉をタイトルに入れてブログを運営している者として、こうしたことについてどう考えているかを書いてみようと思います。

同時に、豆柴を飼いたいけど・・「豆柴って犬種はないの?」「血統書がないとどうなるの?」といった不安を持っている方はぜひ参考にしてください。

「豆柴という犬種は存在しない」の根拠は?

日本には、「血統書(血統証明書)」の発行をはじめとした優良犬の普及活動を行っている団体がいくつかあります。

中でも世界80カ国が加盟する国際畜犬連盟(FCI)の一員で長い歴史もある「JKC(ジャパンケネルクラブ)」は、業界でもっとも権威のある団体と言っていいでしょう。

そのJKCでは「柴犬(しばいぬ)」を含めた約200種の犬種を認定していますが、その中に「豆柴」という犬種はありません。

豆柴という犬種が認定されていないので、当然、JKCでは 豆柴の血統書は発行されないということになりますが・・、

KCジャパンなど一部の団体では「豆柴」を犬種として認め血統書も発行しているので(揚げ足を取るわけでないですが)「豆柴は血統書が発行されない」というのは事実と異なります。

要するに、豆柴の存在を否定している人たちは、日本でもっとも権威のある団体のJKCが豆柴という犬種は認めていないと。

JKCが認めていないからこの世に「豆柴」は存在しないと言っているんですね。

なぜJKCは豆柴を正式な犬種として認めないの?

JKCに登録されている犬種は、外見的な理想像として、目、鼻、口、胴体や足などの各パーツから体高や毛色にいたるまで細かく規定された『犬種標準(スタンダード)』が定められています。

この犬種標準を決めることによって繁殖計画の目標が明確になり、それが純粋犬種を守ることへとつながるわけです。

当然「柴犬」にも各パーツが規定されている犬種標準がありますが、大きさの規定は体高(背中までの高さ)が「牡:39.5cm 牝:36.5cm(それぞれ上下各1.5cmまでとする)」と決まっています。

さらに柴犬の歴史をみてみると・・

JKCの「柴犬」の沿革まとめ
  • 小動物や鳥の猟犬として使われていた日本古来の土着犬で、柴犬の “柴” は「小さいもの・小さい犬」を意味する。
  • 20世紀前後にイギリスから多くの猟犬が輸入され異種交配が流行して大正時代には純粋な柴犬が絶滅しかける。
  • 1934年に社団法人日本犬保存会のスタンダードが制定、1936年に天然記念物に指定されてから繁殖・改良されて今日に至る。

柴犬がそもそも小さいという意味があることや絶滅しかけた歴史などを考えると、柴犬という犬の特徴を引き継ぎ血統を守っていこうとする流れがあるのは理解できます(ちなみに毛色が白い柴犬は認められていません)。

しかもJKCでは、犬の繁殖に関する問題点として「テレビやCMなどで一時的に爆発的な人気となった犬種は、多くの方々が欲しがるため、繁殖の基本である『犬質の向上』を無視した繁殖が行なわれる傾向が強くある」ということを指摘しています。

こうした様々な要因から小さい柴犬は規格外として扱い、豆柴サイズの繁殖を認めていないと考えられます。

ちょっと難しくなりましたが、要するにJKCでは、「小さなサイズの柴犬を独立した犬種として認めないことによってオリジナルの柴犬を守ろうとしている」ということです。

豆柴を目の敵のように叩くのはどうしてか?

では「豆柴」を否定する人たちは、どうして豆柴というワードに過剰反応を起こしたり、ときには目の敵のように批判するのでしょう?

恐らくそれは、小さなサイズの柴犬を「豆柴」といってチヤホヤすることが無理な交配を誘発させ、結果的に無駄に命が失われることへつながると考えているからだと思います。

人気が出れば高く売れるので、お金儲けのために、知識のないまま、または故意に悪質な繁殖をする業者を生み出してしまう。

無計画な交配や無理な交雑・近親交配が横行すると余剰な繁殖、ときには健全とはいえない個体が産まれる可能性が高まり、あげく商品価値がないと判断すれば…。

こうした身勝手な繁殖業者が増え、命が無駄になることを危惧しているのでしょう。

また、ただ単に小さい柴犬同士を交配させただけの子や、たまたま小さい柴犬が産まれたときに「豆柴」として売ることによるトラブルが後を絶たないようですが・・

「豆柴だと言われて買ったのに柴犬サイズになった」というお決まりのやつですね。

これもまた「豆柴」という架空の犬種(?)を否定する原因になっているのかもしれません。

すべて根底には、JKCが言うところの「繁殖の基本である『犬質の向上』を無視した繁殖が行なわれる」ことへの懸念があるのだと思います。

豆柴を犬種として認めないことによる問題点

もちろんお金儲けのための悪質な繁殖は倫理的に許されることではありません。

ただし個人的には、小さな個体同士を交配させてミニチュアサイズの犬種を維持することが悪いことだと決めつけるのはどうかと思っています。

古くから小さい個体で作出されたミニチュアサイズの犬種というのは存在しますし、実際JKCでは「ミニチュア・シュナウザー」「ミニチュア・ピンシャー」「カニーンヘン・ダックスフンド」「トイ・プードル」などは犬種として認めています。

例えばトイ・プードルでいえば、プードル(ミディアムも含め)からミニチュア・プードル、そしてトイプードルへと純粋に愛玩犬として飼育するために小型化していったという歴史があるわけで…。

国際畜犬連盟(FCI)が発足する前から存在する犬種とはいえ、JKCに認められている犬種も歴史を紐解けば原点は一緒。ミニチュアサイズの犬が求められるのは今も昔も変わりません。

これを人間の身勝手な考えと批判する人もいると思いますが、現実問題として小さなサイズの柴犬が一定数存在する以上、健康な個体の安定化や犬質の向上を計った方がいいという考え方もあります。

むしろ「豆柴」を犬種として認め(名称は何でもいいですが)、正しい繁殖が行われるように誘導していく方が建設的ではないのかと。

豆柴の犬種標準を規定することによって無駄に命が失われることも減少していくのではないかと思うのです。

さらにはティーカップ・プードルや小豆柴など、エスカレートしていく小型化に歯止めをかけることにもつながる可能性だってあります。

そうなれば「〇〇だと言われて買ったのに大きくなった」といったトラブルも減るのではないでしょうか?

眠っている凜太郎

これから豆柴を飼いたいと思っている人へ

犬種や血統書を厳格に求める人がいる一方で、実際に犬を飼いたいと思ったときに犬種として認められているかどうかを気にする人ってそれほど多くはないと思います。

ただ、豆柴に関しては「豆柴なんていう犬種はない」「豆柴は血統書が発行されない」といった書き込みがネットなどにあるので、知ればやっぱり気になりますよね?

「犬種として認定されないってどういうこと?」「血統書が発行されないとどうなるの?」と混乱する気持ちもわかります。

わたしは凜太郎を飼い始めるまで豆柴問題(?)なんて知らなかったので“知らぬが仏”でしたが、もし飼う前に知っていたらやはり気になっていたでしょう。

でも心配することはありません。

繰り返しになりますが『KCジャパン(NPO法人 日本社会福祉愛犬協会)』という団体では「豆柴」の犬種標準が規定されてちゃんと血統書が発行されます。

「JKCのチャンピオン犬を育てたい」とか「権威のあるJKCの血統書が欲しい」といったこだわりがなければ何も問題はありませんよ。

凜太郎の血統書

凜太郎自身は審査を受けていませんがこれが凜太郎の血統を示す血統書です

KCジャパンはJKCよりも容易に血統書が発行できるから云々という人もいますが、ほとんどの飼い主さんにとって重要なのは「権威のあるJKCの血統書」ではなく、飼いたいと思っている子の直系親族(血統)の情報だと思います。

つまり両親、祖父母、曾祖父母の代までが柴犬または豆柴の純血種であること、そしてできれば豆柴の系譜であると証明してくれることの方が重要なはずです。

そういう意味ではKCジャパンの血統書は十分に役割を果たしてくれるといえます。

この辺りのことをもう少し詳しく知りたいという人はKCジャパンのHP内「豆柴ガイド」のページを確認してみてください。

豆柴と一緒に生活するということ

最後に・・

豆柴は小さくて飼いやすそうに見えて実は結構厄介な犬種です。

「小さくてカワイイ」は、飼いたい動機としてはアリですが、もし家族として迎えるならその命を一生預かる覚悟が必要だということを今一度確認しておきましょう。

「こんなに大きくなると思わなかった」「思っていたより気性が荒かった」といったことで飼育放棄するなんて許されませんから。

などと偉そうなことを書いている自分も、凜太郎に手を焼いてこれまで何度もしつけ等でくじけそうになったし、まだまだ飼い主として未熟なのは理解しています。

ただ、我々豆柴の飼い主が責任を持って育てるという当たり前のことをしていけば、

トイプードルやミニチュアダックスなどがそうであったように、豆柴という犬種への否定的な声もなくなりいずれは認められる日も来るでしょう。

豆柴好きを悪く言う人がいて心苦しくなることもありますが、みんな凜太郎をカワイイと言ってくれますし豆柴と一緒に生活できることを毎日ものすごく幸せに感じています。

そのなかで、豆柴の飼い主として、同じ豆柴を愛する飼い主さんにとって少しでも有益なことが伝えられたらという想いでこのブログを運営しています。

もしあなたがネガティブな意見が気になって豆柴を飼うのをためらっているとしたら、「すでにそこにある命を責任を持って預るのも大切」と考えてみてください。

そして一生懸命育てながら堂々と「豆柴が好き」と言いましょうよ!

飼い主と丘を登る凜太郎

ちょっと重たいテーマだったので読みづらい内容だったと思いますが最後まで読んでいただいてありがとうございました。